飲むヒアルロン酸は”女性の大敵”シワに効果があるのか?

ヒアルロン酸といえば、化粧水の保湿成分としてよく知られていますが、最近はサプリメントでもヒアルロン酸入りのものを見かけるようになりました。年齢が上がるにつれ、乾燥や目元のシワが気になり始めた女性は自然とヒアルロン酸入り商品を手にとる機会も増えます。そこで今回は、肌に塗るのではなくヒアルロン酸を飲んで効果があるのかを検証した研究をご紹介します。

日本国内メーカーがヒアルロン酸のシワ改善効果を検証

キューピー株式会社と東邦大学大橋医療センター皮膚科の共同研究

Oe M, Sakai S, Yoshida H, Okado N, Kaneda H, Masuda Y, Urushibata O. Oral hyaluronan relieves wrinkles: a double-blinded, placebo-controlled study over a 12-week period. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2017;10:267-273

https://doi.org/10.2147/CCID.S141845

背景:ヒアルロン酸(HA)は、特に人間の皮膚にとって重要な保湿特性と高い保水能力を備えています。この研究は、HAの経口摂取の効果を評価することを目的としていました。
方法:HAの平均分子量(MW)は2kと300kです。目尻のシワを呈する22歳から59歳までの60人の日本人男女被験者を、1日120㎎のHA2kまたはHA300kまたはプラセボ群に無作為に割り当てました。被験者は120㎎/日の割合でHAまたはプラセボを12週間投与されました。シワは皮膚のレプリカを作り、それを画像解析することにより評価し、アンケート調査により肌状態を評価しました。
結果:試験期間中、全溝容積率、シワ面積率、シワ容積率において、HA群はプラセボ群よりも良好なレベルを示しました。8週間の摂取後、HA300k群は、プラセボ群と比較して有意に減少したシワを示しました。皮膚のつやとしなやかさは、ベースラインと比較して、すべての群で12週間後に大幅に改善されました。
結果:結果は、経口HA(2k、300kともに)が皮膚のシワを抑制し、皮膚の状態を改善することを示唆しています。

ヒアルロン酸とは?

ヒアルロン酸は、皮膚や血管、脳、関節、目など体のあらゆる場所に存在します。そのうち、皮膚は体内でヒアルロン酸の量が最も多く、全身のヒアルロン酸の約50%が皮膚に存在しています。ヒアルロン酸は水分を保つ力”保水力”がとても高く、1gで約6Lもの水分を抱え込むことができる成分です(500mℓのペットボトル12本分に該当)。

老化によりヒアルロン酸がピーク時の25%まで減少

若い間は体内でもヒアルロン酸は生成されますが、紫外線や加齢などにともない体のはたらきが衰えるにつれヒアルロン酸の生成量も減少します。体内ヒアルロン酸量は20代をピークとして徐々に低下し、60代ではピーク時の25%にまで減ります。そのため、十分な水分を皮膚にとどめることができず、支えられなくなった状態がシワとなります。

加齢に伴うヒアルロン酸量の変化(出典:Evidence for structual changes in dermatan
Sulfate and hyaluronicacid with aging.
Carbo-hydr.Res. 1987;159:127~136)

以前はヒアルロン酸は吸収されにくい成分と思われていた

ヒアルロン酸は糖がたくさん連なった”多糖類”に分類されています。ジャムのペクチンや寒天、キサンタンガム、でんぷんや食物繊維といったものが多糖類の仲間です。とろみ付けや安定性に使うものが多く、ヒアルロン酸も体内でそういったはたらきをしています。

多糖類というのは大きい物質なので体内に吸収されにくいというデメリットがあります。しかも、ヒアルロン酸が多く含まれる食材は鶏の鶏冠、手羽、軟骨、豚足といったもので、必要量を補うにも日常的にとり入れるにも難しいのが現状です。注射や外科的手法が主でしたが、効果が徐々に減少したり高額といった問題もあります。そこで、最近は少し小さくしたヒアルロン酸のサプリが開発されており、日常的にヒアルロン酸を補充することが可能になってきました。

大きさ関係なく改善効果が示された

今回紹介した研究では、分子量(大きさ)2kまたは300kのヒアルロン酸を12週間経口摂取すると、22歳以上59歳以下の健康な日本人のシワが減り、肌ツヤとしなやかさが改善されることが示されました。健康美を維持する方法としてヒアルロン酸の摂取が期待されています。

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