「栄養素は小さく小さく分解されてから吸収される」と学んできた医療関係者の疑問として、コラーゲンを摂取しても肌がぷるぷるになるわけではないというものがありました。コラーゲン商品が増えてきた今でも、疑問視している人はいます。そこで今回は、コラーゲンサプリと皮膚に関する文献について検証されたものをご紹介します。
コラーゲンとは?
コラーゲンはたんぱく質の一種で、人体のたんぱく質の約30%を占めています。皮膚や血管、腱、軟骨といった組織に含まれており、特に皮膚には全体の約40%のコラーゲンが含まれています。
コラーゲンを含む食材は、ゼラチンや手羽、牛すじ、鶏皮などがあります。日常的に食べる食材でもないことから、近年、コラーゲンサプリメントは増えつつあるものの、必要なたんぱく質量が摂取できていれば、通常はコラーゲンが不足することはないとされています。
コラーゲンの明確な一日摂取基準量はないものの、一日5~10gが目安といわれています。
コラーゲンサプリが疑問視されていた理由
コラーゲンはたんぱく質なので、食べものが消化管を通る間にどんどん分解され小さくなり、最後はアミノ酸となって吸収されます。アミノ酸まで小さくなるとコラーゲンとしての機能はなくなるため、コラーゲンサプリに求める効果はないと考えられてきました。
しかし近年では、コラーゲンペプチドというアミノ酸の手前の大きさでも体内に吸収されることがわかってきました。コラーゲンの性質も持ち合わせているコラーゲンペプチドをサプリメントとして摂取することで、得られる効果は次のようなものがあります。
- 肌を紫外線ダメージから守る
- 肌のうるおいやシワを改善する
- 骨を丈夫にする
- 血圧を下げる
- 髪質を改善する etc.
では実際に、いくつかの文献を検証したものを見ていきましょう。
コラーゲンサプリの皮膚科学への応用レビュー概要
目的
コラーゲンサプリメントによる次に関する治療効果について、文献をレビューし、利用可能な無作為化対照試験を評価します。
- 肌質改善効果
- アンチエイジング効果
- 医療皮膚科での応用の可能性
結論と関連性
Jドラッグズダーマトール。2019;18(1):9-16. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30681787/
- 対象となったのは11の研究、患者805人
- 創傷治癒や皮膚の老化に対するコラーゲンサプリメントの短期および長期の使用については、予備調査が必要
- コラーゲンサプリメントは皮膚の弾力性、水分補給、真皮にあるコラーゲン密度を増加させる
- コラーゲンサプリメントは一般的に安全であり、有害事象の報告はない
- アトピー性皮膚炎のような、皮膚バリア疾患における医学的使用法の解明と最適な投与方法の決定には、さらなる研究が必要
予備調査は必要とはされていますが、コラーゲンサプリメントを摂ることによる皮膚への恩恵は女性にとってはうれしいものです。また、加齢にともない膝に痛みがでやすくなります。軟骨にもコラーゲンは必要なので、美容面でも健康面でもエイジングケアの一環として、コラーゲンサプリメントを取り入れてみるのもよいでしょう。