世界の医療事情|アメリカでの出産のち香港へ

日本は皆保険ですが、海外はそうではないので対応もさまざまです。みんなが平等に治療を受けられる日本はすばらしいと思う一方、年々、医療費が増加し続けているという問題もあります。だからこそ、海外の医療事情はどうなのか?実際に海外在住の方へインタビューやアンケートをお願いし、皆さんにご紹介していくことにしました。

今回は、アメリカで妊娠出産後、香港に移住されたRさんのお話です。

結婚後、アメリカで出産を経験

結婚後、アメリカへ移住し、そこで妊娠出産のち香港へ。

会社都合ではなく個人で移住した形だったこともあり、個人保険のプランでの出産でした。妊娠中は、総合病院ではなく保険でカバーしてもらえる個人の産婦人科クリニックのおばあちゃんDrを夫に探してもらい、直接依頼しました。エコーや診察はそれぞれ2回ほどです。

妊娠中も婦人科受診時も、内診はしても日本でよくあるような内診台に上がったことはありません(婦人科受診は香港)。

総合病院だとやれることの選択肢は少ないですが、バースプラン(※)は書きました。破水して個人クリニックに行ったものの一度帰され、陣痛感覚が狭まったら総合病院のほうへ行くよう言われました。生まれるときに、クリニックのおばあちゃんDrが現れた感じです。

※ バースプランとは、妊婦や家族が望む出産にするための計画書のこと。

香港の医療事情

各家庭、ホームドクター(GP:General Practitioner)を決めているので、どんな症状でもまずそこで診察してもらい、必要であれば専門科へ振り分けられます。眼科やリハビリを受けるときも同じです。

公立病院と私立病院の違いについて

香港では公立病院と私立病院があり、金額や対応も全然違うので希望に合わせて病院を決める人が多いようです。もちろん、私立病院はどうしても高額になってしまいます。

駐在の日本人の場合、会社が医療費を支払ってくれるので公立病院にはほとんど行きません。私立病院は通訳もついてくれます。私が運ばれた2012年頃は、公立病院は広東語のみで英語はほぼ通じませんでしたが、2023年現在は英語も完全に通じます。

また、公立病院は救急のときでないと受け付けてもらえませんので、風邪ひいた場合に公立病院へ行くことはありません。

治療費はどのくらい違いますか?

私立病院と公立病院で同じ薬を出してもらったことがあります。(支払い金額は下記の通り)

  • 私立病院 3か月分で5,000香港ドル(2023年3月5日のレートで86,540円)
  • 公立病院 1年分で80香港ドル(2023年3月5日のレートで1,384円)

アメリカと同じように、香港も公的な医療保険はないので個々に民間の医療保険に入っています。子どもも無料ではなく治療費が必要です。

アメリカの救急車代がよくネタにされますが、香港の救急車代は?

救急車は公立病院からしか出ないので、かならず公立病院へ運ばれます。必然的に手術件数も公立病院が多くなります。何年も前ですが、救急車で運ばれ3日ほど入院して支払ったのは500香港ドルくらいでした(2023年3月5日のレートで8,654円)。

香港での新型コロナ対応について

せっかくなので、新型コロナへの対応も教えてください。

国の対応について

コロナで、政府から漢方薬とマスク、検査キットが各家庭に配布されました。

中国ほどではないけどゆるめのロックダウンがあり、場所かマンションによってPCR検査を受けさせられ、陽性だと別の場所へ移されました。

マスク事情について

今(2023年2月取材当時)もマスクは義務で、マスクをしていないと罰金です。もちろん二重マスクの人はいますし、以前は三重四重マスクの人もいました。フェイスガードを未だにつけている人もいます。

※2023.3.1付けでマスク着用規制は撤廃されました

学校の対応について

うちの子の学校は給食ですが、ビュッフェ形式だったのが小分け対応に変わりました(現在は元に戻っています)。小学校はオンライン授業だったので、スクールバス代が返金されましたね。

セルフケア事情について

私立病院へ行ったときは、通訳がいる病院だったからか風邪をひいた日本人だらけでした。感覚的ですが、香港人はまずセルフケアをします。漢方ジュースのジューススタンドや漢方薬局がいたる所にあるので、まずそちらに行きます。

薬を飲むにしても、まずは漢方薬局で漢方相談を受けたり市販の漢方薬を自分で購入します。漢方相談の場合、薬局で煎じてもらうか自宅で煎じますが、キットを持ち帰ると蛇の皮が入っていたこともありました。

冷たい氷水は日本特有?

香港の人は冷たい水を飲みません。自宅だけでなくレストランでも常温かぬるい水が出てきますし、水を頼んでも氷は入っていません。白湯を頼む人もいます。水筒を持ち歩くので、知人の家に遊びに行ってもマイボトルがあるからドリンクは必要ないと断られます。

日本よりも若い子が飲んでいそうなコーラやスプライトは冷たいですけどね(笑)

あと、スープをよく飲みます。日本だと薬膳スープって特別そうなイメージですが、香港では出来合いのものやあとは煮込むだけのスープキットも売っているので、日常の食事の中でも自然に温かいスープをたくさん取り入れていますね。薬膳スープは何時間もくつくつ煮込むのがポイントです。

おまけ:香港の子育て事情

香港は11歳未満の子どもは1人で外出禁止なので、常にだれか大人がついていないといけないんです。11歳になると身分証明カードが配布されます。

ヘルパー制度があり、ヘルパーさんが家に住み込みで常駐しているのが普通です。ヘルパーさんはフィリピンやインドネシアの方が多いと思います。

だから公園に連れて行くのもヘルパーさんだし、ご飯の準備もすべてヘルパーさんにお願いします。ママは食事を作る必要がなく、その分、共働きをして稼ぐのが香港流です。

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